テレビで幽霊やゾンビの映画やドラマは、怖くて見ると深夜、トイレに一人で行けず隣に寝ている夫を起こしたり、夢でうなされるので老人となった今も、苦手です。
しかし、不思議と妖怪ものは好きなのです。
昨日、新聞の読書紙面に載っていたコミック「ようきなやつら」岡田索雲〈著〉に、興味を持ち早速取り寄せました。
私が知っている妖怪は、『水木しげる』の描く「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる妖怪。
不可思議な事象や人知を超えた怪奇現象、災厄を起こす怪しい力を持っている昔話にも出てくる妖怪たちです。
しかし、このコミック漫画に登場する「鎌鼬(かまいたち)」「さとり」「河童」「化け猫」「山姥」「提灯小僧」は、社会的な問題、 (外国人差別・自傷・MeToo運動・関東大震災時の朝鮮人虐殺)「現実にある差別、又はあった差別」を、話の主人公なる妖怪を中心に描かれていて、昔から知っているお話に登場する妖怪とは違っていました。
なかでも、『追燈』の章は、非道で悲惨な文言が何ページにも亘って綴られており、読んでいた途中で本を閉じてしまい、すこし時間を空けてから読み始めたほど、悲しく重苦しい思いに落ちていました。
気持ちが沈んだ状態にある人が読むのは、辛いかもしれません。
「こんな重い気持ちを引きずったまま、読み終えるのかな」と考えながら、最終話に入ると、それまでの重苦しかった話の雰囲気と変わり、緩い感じで始まりました。
妖怪の存在を察知できる青年武良木と九尾の狐のオザキの交わされていく言葉が素直に読み取れたせいか、少しずつ気持ちがほぐれて行き、最終頁の一コマにほっとしながら、本を閉じることが出来ました。
妖怪を描いているように見えて,実際には人間を描いているこの本。
生きている人間ほど恐ろしいものは無いとつくづく思ってしまいました。
極力、ネタバレの無いように書いたつもりなんですけど、この本への興味が削がれたなら御免なさい。
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