戦争が勃発すると、当事国はテレビ局を占拠、また海外メディアを締め出し、自国にとって都合の悪い情報を遮断する。
ところがロシア軍のウクライナ侵攻の激しさは、一般市民によるSNSを利用して情報が発信され、侵攻の「可視化」が行われ我々は情報を知りえられている。
(可視化:人間が直接「見る」ことの出来ない現象・事象・関係性を「見る」ことの出来るもの〈画像・グラフ図・表など〉
SNSで拡散されるフェイクニュース
しかし、ここで注意しなければならないのが、無数の情報が拡散される中で流されるフェイクニュースもあるという事だ。
フェイクニュースには政府が戦略的に流すもの、一般ユーザーが面白半分に流すものと様々な性質がある。
ショッキングな情報に接触したら、まずは即座に反応せず、安易に拡散しないことを心掛けることが大切である。
誰でも騙される可能性があるという事を自覚することが重要なのである。
また、情報を提供するユーザーに対してもロシア側はSNSに対する締め付けを強化している。
この侵攻に際し大手SNSは、ユーザーの安全性を守るための方策を取っているが、危険にさらされる可能性が有るゆえに、投稿するときは注意が必要だ。
いつの時代も独裁者にとって外国から来た記者たちは疎ましい者らしい。
ロシア政府が軍の活動について『偽情報』を報じた記者らに対して最大15年のを禁固刑を科すと決めた。
偽情報がどうかはロシア当局が判断するという。英BBCなど海外メディアは相次ぎ取材停止を余儀なくされた。
この事態を受け、国際NGO『国境なき記者団』が発表した声明は悲痛である。
『我々はなすすべなく自由な報道が殺されるのを目撃しようとしている。』
近年これほど苛烈な報道規制があっただろうか。
政府を批判する国内の報道機関やSNSを沈黙に追い込み、外国プレスは新法で一気に締め出す。
「単一国国策メディア」のみが報道を担う異様な社会。
まさに独裁者にとって理想の中の理想であり、市民にとっては暗黒の中の暗黒であろう。 2022・3・7朝日新聞:天声人語より